リハビリテーション科

ご案内

長年にわたり埼玉県南部、東部地域で認知症専門病院として運営してきた当院ですが、けがやご病気をされた方々が、急性期病院を出た後、地元でリハビリテーションを行う施設が不足していました。そのような地域の必要性に応えるべく、平成31年4月から回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟を開設する運びとなりました。先行して、平成30年7月から一般内科病棟にて疾患別リハビリテーションを開始しています。各病棟やリハビリの種類については、それぞれの細項目をご覧ください。

当リハビリテーション科の特徴としては、WHO(世界保健機関)の提唱するICF(国際生活機能分類)の考え方を、個々の患者様の状態把握や治療計画の立案に取り入れ、社会参加や日常生活における障壁や不利益を軽減・解消するためのお手伝いをすることです。
治療者が主導して、患者様が受け身でいるようなリハビリでは、気持ちはいいかもしれませんが体力を元に戻すことはできません。
当院では、入院前と入院中の生活で困っていることをお尋ねして、できていること、していることを確認、できくなったこと、していないことを探して、患者様に合った実現可能な目標を立てます。実際のリハビリの場面では、患者様が達成可能な短期目標をクリアしていく過程をセラピストがお手伝いします。一つずつクリアしていくことで患者様のやる気を引き出し、自ら進んでリハビリに参加していただくような環境を整えていきます。
最終的な目標は、退院後に患者様が普段の生活の中でできるだけ自立度の高い生活を送れるようにすることです。言い換えると、必要最小限の介護で生活できるようにすることです。そのために、患者様もしくはその介護者となる方々に、退院までには、必要な注意点や自主トレーニングを習得していただくお手伝いもさせて頂きます。
最終的に介護が必要なまま退院なさるような場合には、相談員も参加の上、最適な福祉制度の利用を提案させていただくこともできます。

回復期リハビリテーション病棟

川口さくら病院では2019年4月に回復期リハビリテーション病棟(40床)を新規開設しました。
回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期病棟)とは、脳卒中や大腿骨頚部骨折等の疾患により急性期病院で手術や治療を行った後、集中的にリハビリテーションが必要な患者様に対して、低下した能力を再び取り戻し自宅復帰・社会参加を目指していく病棟です。
当院では積極的にリハビリに取り組んでいただくために365日毎日2~3時間の個別リハビリテーションを提供します。早期の自宅復帰・社会復帰を考えたときに1日24時間の2~3時間の個別リハビリでは十分なリハビリとは言えません。そこで、個別リハビリテーション以外の時間でも積極的に患者様が自主訓練を行える環境を整えています。また、個々の患者様の生活に根差した目標設定と治療計画を立てるために、医師、看護師、リハビリ、管理栄養士、相談員などと話し合いながら、個々の患者様に会ったリハビリを行います。
当院では、患者様の潜在能力を最大限引き出して、日常生活で使える能力の改善をお手伝いします。

回復期リハビリテーション病棟 対象患者

疾患
  • 脳血管疾患,脊髄損傷,頭部外傷,くも膜下出血のシャント手術後,脳腫瘍,脳炎,急性脳症,脊髄炎,多発性神経炎,多発性硬化症,腕神経叢損傷等の発症又は手術後,義肢装着訓練を要する状態
  • 高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害,重度の頚髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷
  • 大腿骨,骨盤,脊椎,股関節もしくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態
  • 外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており,手術後または発症後の状態
  • 大腿骨,骨盤,脊椎,股関節又は膝関節の神経,筋又は靱帯損傷後の状態
  • 股関節又は膝関節の置換術後の状態

地域包括ケア病棟

急性期治療後の在宅復帰と、密度が高い退院支援のために医療やリハビリテーションを行うため、『地域包括ケア病棟』を併設しています。

地域包括ケア病棟とは

安心して自宅退院できるようにお手伝いします

「地域包括ケア病棟」は、急性期治療後、病状が安定したもののすぐにご自宅や施設等に帰るには不安がある患者様に対して、リハビリテーションを積極的に行うことで密度の高い退院支援を行う病棟です。
地域包括ケア病棟では、患者様が安心してスムーズに在宅に復帰していただけるよう、リハビリスタッフをはじめ、医師、看護師、ケアワーカー、相談員等が協力して在宅復帰に向けた密度の高い退院支援をさせていただきます。

対象となる患者様

在宅あるいは介護施設等に復帰予定の方であれば対象となりますが、主に次のような患者様が対象になります。

  • 入院治療により病状は改善したが、経過観察が必要な方
  • 在宅復帰に向けての継続的なリハビリが必要な方
  • 自宅復帰または介護施設への入所などの準備中の方
  • 在宅療養中で医学的処置が必要な患者様の一時的な短期の入院

入院に対する留意点

  • 地域包括ケア病棟での入院期間は、患者様の状態に応じて調整いたしますが、60日を限度としています。
    入院日数が60日を超えることが予想される場合には、他院、他施設での医療や療養に移行することがあります。
  • 転棟に際して、リハビリの充実のために担当者が変わる場合があります。

疾患別リハビリテーション

骨折や脳卒中など多種多様な疾患にリハビリテーションを提供できる病棟になります。回復期病棟では、下肢の骨折や脳卒中など対象となる怪我や病気が限られてきてしまうのに対し、この病棟では患者様の状態に応じてリハビリテーションを1日2時間を上限に提供し、日常生活能力・身体機能の改善を目指していきます。
その為に、リハビリを実施している患者様に対しては、医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、相談員などが定期的なカンファレンスを実施しながら関わっていきます。

脳血管リハビリテーション
脳梗塞や、脳出血などの脳血管疾患、パーキンソン氏病などの神経筋疾患、脊髄損傷などの中枢神経疾患の患者様に対して、日常生活能力・身体機能の再獲得に向けリハビリテーションを提供します。
運動器リハビリテーション
骨折や関節の変形、末梢神経麻痺(1肢以上)、切断による義肢の訓練など、様々な整形外科疾患に対応します。下肢の骨折などはもちろん、肩や手などの上肢の骨折に対してもリハビリテーションを提供します。
廃用症候群リハビリテーション
肺炎など急性疾患等に伴う安静により、日常生活能力が一程度以上低下した患者様に対して、個別にリハビリテーションを実施します。

精神科(認知症)リハビリテーション

様々な障害をもつ認知症の患者様に、薬物療法以外にも精神科リハビリテーションを行っています。
認知機能障害の維持、行動障害(BPSD)の改善、生活の質の向上・その人らしさの向上を目的に、下記の3つのアプローチから患者様と日々取り組んでいます。

①認知症患者リハビリテーション:個別訓練

入院日より1年間、20分の個別リハビリテーションを週3回実施しています。

目的
精神状態を安定させ、現在可能な機能維持・向上、日中の楽しみを提供するために行います。
内容
一人ひとりに合わせたプログラムを提供しています。
身体機能や精神機能の向上プログラム、余暇活動プログラムを多岐にわたり提供しています。

②精神科作業療法:集団活動

AM、PMに分けて集団活動を実施しています。

目的
集団活動の楽しみを利用して日々の生活リズムの構築、意欲・関心、精神の安定、対人関係を構築し、その人らしい生活が送れるよう取り組みます。
内容
AM
リアリティオリエンテーション(RO)※、体操、風船バレー、学習療法、嚥下体操、歌唱 等
PM
レクリエーション(ボーリング、カラオケ、魚釣り等)、作業活動(塗絵、書道、活花)、屋外散歩、鑑賞会 等
※リアリティオリエンテーションとは、何月何日なのか、季節はいつなのかといった、時間や今いる場所等が分からない等の見当識障害を解消するための訓練です。

③生活機能回復訓練

病棟内での日常生活において出来る動作を発揮する為に、患者様に関わる他職種と協力して、実施しています。

目的
食事、トイレ、更衣、入浴等の日常生活に必要な動作能力の維持・向上に努めます。
内容
出来る部分はご自身で行って頂き、出来ない部分の動作訓練を週5回実施します。