リハビリテーション科
リハビリテーション科からのご案内
長年にわたり、認知症専門病院として運営していた当院ですが、2018年にリハビリテーション科を新設し、精神科病棟、一般内科病棟でのリハビリテーションを開始し、2019年4月には回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟を開設しております。
リハビリテーション室 |
ADLスペース |
リハビリテーション室
ADLスペース
リハビリテーションでは、身体能力の維持、改善はもとより、国際生活機能分類(ICF)の考え方に基づき、患者様の日常生活や社会参加における不便さや不利益を軽減・解消するための支援を行っています。
当院では医師、看護師、ケアワーカー、介護士、栄養士、社会福祉士、精神保健福祉士など、部門の垣根を越えて多職種で連携をとりながら、認知症治療で培ってきた経験を活かし、個別性の高いリハビリテーションをすすめてまいります。
穏やかな雰囲気でリハビリテーションを提供します
穏やかな雰囲気でリハビリテーションを提供します
当院で提供しているリハビリテーションについて
患者様の疾患に合わせた、テーラーメイドなリハビリテーションを目指しています。
リハビリテーションの手段は、主に理学療法、作業療法、言語聴覚療法があり、これらの治療法を組み合わせて、患者様へリハビリテーションを提供しています。
理学療法
理学療法とは、病気や加齢によって運動機能が低下した方に対して、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
身体運動機能の回復や維持・向上を図り自立した日常生活が送れるよう、運動指導や物理療法を理学療法士が行います。
当院では、患者様の状態を考慮したうえで、装具療法や物理療法を積極的に活用し、根拠に基づいた理学療法の提供を目指しています。
理学療法の様子 |
平行棒 |
理学療法の様子
平行棒
作業療法
作業療法とは、日常生活・社会生活への復帰を目的に、食事、歯みがきなど日常生活の動作、家事、芸術活動、遊びといった生活場面での作業や動作を用いて行われる治療法です。
身体や精神障害、高次脳機能障害、認知症等の方を対象に、食事や入浴・着替えといった日常生活で行う応用動作や精神面に対するリハビリテーションを作業療法士が行います。
当院では、集団での作業療法や化粧療法、園芸療法を行っており、その人らしい生活を送るための支援を積極的に行っています。
作業療法の様子 |
上肢機能の評価に用いる道具 |
作業療法の様子
上肢機能の評価に用いる道具
言語聴覚療法
言語に関わる問題の本質やメカニズムを分析して、必要に応じて、訓練・指導・援助を行う治療法です。
言語の問題や嚥下に問題がある方を対象に問題の程度、発生のメカニズムを評価しその結果に基づいて訓練、指導等を言語聴覚士が行います。
当院では、摂食機能療法に力を入れて取り組んでおり、言語聴覚士だけでなく、多職種で協働する取り組みを実施しています。
言語聴覚療法の様子 |
言語聴覚療法に用いる道具 |
言語聴覚療法の様子
言語聴覚療法に用いる道具
また、必要に応じて、下記のような治療や指導をご提案しています。
装具療法
肩関節の亜脱臼予防や下半身の安定性確保、筋肉の機能異常に伴う関節の変形や拘縮予防を目的に使用します。
多様な種類を用意しており、患者様の状態に合わせた装具を選択し、使用します。
装具
装具
低周波治療機器を用いた物理療法
脳から筋への運動指令(微弱な電流)を機械で受信し、目標とする筋肉へ電気信号を送り、関節の動きを補助します。
疾患によって障害された手足や喉の運動の再獲得を目指します。
当院では手足用、喉(嚥下)用など用途に合わせた複数の機器をご用意しています。
IVES |
バイタルスティム |
IVES
バイタルスティム
摂食機能療法
噛めない、飲み込めない等の食事が困難な方に対して行う治療です。
口や喉はもちろんですが、全身状態や食事の環境に至るまで、多様な視点で働きかけを行います。
摂食機能療法の様子
摂食機能療法の様子
退院前訪問指導
ご自宅に退院される患者様が安心・安全に在宅生活を送っていただけるよう、退院前にご自宅へ訪問させていただきます。
家屋内外の段差・配置等の環境を把握し、ご自宅での動作指導・生活指導、介護サービス等の確認、提案をするために、担当の理学療法士、作業療法士がご自宅へ伺います。
※訪問日時は、患者様・ご家族とご相談の上、決定します。
なお、退院前訪問指導は、患者様・ご家族のご理解・協力を得られた場合のみ実施していますので、疑問や不安などがありましたら気軽に担当療法士までご相談ください。
リハビリテーション科職員の保有資格
3学会合同呼吸療法認定士、福祉住環境コーディネーター3級・2級、認知症ライフパートナー2級、介護予防運動指導員、介護口腔ケア推進士、健康咀嚼指導士、認定理学療法士(運動器)、介護支援専門員、修士(リハビリテーション学)、LSVT LOUD認定言語聴覚士、国際PNF協会ベーシックコース修了、国際PNF協会レベル3修了
リハビリテーションの区分と各病棟のご案内
診療報酬上、疾患の種類によって、リハビリテーションが区分されています。
当院で提供している区分ごとのリハビリテーションは以下の通りです。
脳血管リハビリテーション
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患、パーキンソン氏病などの神経筋疾患、脊髄損傷などの中枢神経疾患の患者様に対して、身体機能や日常生活動作能力の再獲得を目指します。
運動器リハビリテーション
骨折や関節の変形、末梢神経麻痺(1肢以上)、切断による義肢の練習など、様々な整形外科疾患に対応します。
脊椎や下肢の骨折などはもちろん、肩や手などの上肢の骨折に対してもリハビリテーションを提供します。
廃用症候群リハビリテーション
肺炎など急性疾患等に伴う安静により、日常生活能力が低下した患者様に対して、個別にリハビリテーションを実施します。
脳血管リハビリテーション、運動器リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーションは以下の病棟で実施しております。
回復期リハビリテーション病棟
回復期病棟では、脳卒中や大腿骨骨折などの疾患により急性期病院での治療を行った後、集中的なリハビリテーションが必要な方に対して、低下した能力を取り戻し、自宅復帰・社会参加を目指していきます。
当院では積極的にリハビリテーションへ取り組んでいただくために、365日毎日2~3時間の個別リハビリテーションを提供します。
また、患者様の生活に根差した目標や治療計画を立てるために、医師、看護師、管理栄養士、相談員などと話し合いながら、オーダーメイドでのリハビリテーションを目指します。
地域包括ケア病棟
急性期での治療後、病状が安定したものの、すぐにご自宅や施設等に帰るには不安がある患者様に対して、リハビリテーションや退院支援を行う病棟です。
安心して退院できるよう、医師、看護師、ケアワーカー、相談員などが協力して、密度の高い退院支援を行います。
対象となる患者様は主に次のような方が対象となります。
- 入院治療により、病状は改善したが、経過観察が必要な方
- 在宅復帰に向けて、継続的なリハビリが必要な方
- 自宅への退院または介護施設への入所に向けて、準備中の方
入院に対する留意点
入院期間は、患者様の状態に応じて調整しますが、60日を限度としています。
入院日数が60日を超えると予想される場合は、他院、他施設での医療や療養に移行する場合があります。
一般病棟
骨折や脳卒中など多様な疾患に対して、リハビリテーションを提供する病棟です。
回復期病棟では、入院の対象となる疾患は限られますが、一般病棟では患者様の状態に応じて、1日最大2時間のリハビリテーションを提供し、身体機能や日常生活動作能力の改善を目指します。
医師、看護師、薬剤師、栄養士、相談員などと定期的にカンファレンスを実施し、治療の進捗状況に合わせて リハビリテーションを進めています。
精神科病棟では精神科(認知症)リハビリテーションを実施しております。
精神科(認知症)リハビリテーション
様々な障害をもつ認知症の患者様に、薬物療法以外にも精神科リハビリテーションを行っています。
認知機能障害の維持、行動障害(BPSD)の改善、生活の質の向上・その人らしさの向上を目的に、下記の3つのアプローチから患者様と日々取り組んでいます。
【1】認知症患者リハビリテーション:個別訓練
精神状態を安定させ、現在可能な機能の維持・向上、日中の楽しみを提供します。
身体機能や精神機能の向上プログラム、余暇活動プログラムを多岐にわたり提供しています。
個別訓練 |
作業活動 |
個別訓練
作業活動
【2】精神科作業療法:集団活動
集団活動の楽しみを利用して日々の生活リズムの構築、意欲・関心、精神の安定、対人関係
を構築し、その人らしい生活が送れるよう取り組みます。
★午前
リアリティオリエンテーション(RO)※、体操、風船バレー、学習療法、嚥下体操、歌唱 等
★午後
レクリエーション(ボーリング、カラオケ、魚釣り等)、作業活動(塗絵、書道、活花)、屋外散歩、鑑賞会 等
※リアリティオリエンテーションとは、何月何日なのか、季節はいつなのかといった、時間や今いる場所等が分からない等の見当識障害を解消するために行います。
【3】生活機能回復訓練
病棟内での日常生活において出来る動作を発揮する為に、患者様に関わる他職種と協力して、食事、トイレ、更衣、入浴等の日常生活に必要な動作能力の維持・向上に努めます。
作業に取り組む患者様 |
作品 |
作業に取り組む患者
作品