MCI・軽度認知症の治療について

軽度認知障害(MCI)・軽度認知症の治療について
【レカネマブ】【ドナネマブ】治療

当院では、認知症の一歩手前である軽度認知障害(以下、MCI:Mild Cognitive Impairment)や軽度認知症の患者様を対象に、進行を抑制することを目的とした治療を行っています。

外来診療日 毎週月曜日 / 午前(完全予約制)

高齢者人口における認知症有病率とMCI有病率

厚生労働省「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」および 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和 5 年推計)」を基に、タムスグループが独自に作成

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アルツハイマー型認知症とその原因について

MCIや認知症の原因の中で、最も多いとされているのが、全体の約7割を占めるアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー病は、脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイドβ」によって神経細胞が損傷し、脳の萎縮が進むことで発症・進行すると考えられています。近年では、MCIや認知症の初期段階からアミロイドを標的とした治療を開始することで、進行を抑制できる可能性が示されてきています。

認知症の種類

厚生労働省「認知症参考資料(R5.4.19)認知症の種類(主なもの)」を基に、タムスグループが改変

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新薬「抗アミロイドβ抗体薬」【レカネマブ】【ドナネマブ】は、
認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。

抗アミロイドβ抗体薬は、アミロイドβが異常に蓄積する過程で生じる物質に結合し、脳内から除去することで、アミロイドβの蓄積を減少させます。その結果、認知症の進行を遅らせる効果が期待されています。国内では、2023年に「レカネマブ(レケンビ®)」、2024年に「ドナネマブ(ケサンラ®)」が承認されました。

一般名 レカネマブ ドナネマブ
商品名 レケンビ ケサンラ
投与方法 点滴 点滴
時間 1時間以上 30分以上
頻度 2週間に1回 4週間に1回
治療期間 原則1年半 (投与終了の目安なし) 原則1年半 投与開始後12ヶ月を目安にアミロイドβ除去が確認できれば投与終了の可能
MRI検査の実施目安 5・7・14回目 2・3・4・7・14回目
MMSE 22~30点 22~28点

投与対象となる方

レカネマブやドナネマブは、厚生労働省が定めた「最適使用推進ガイドライン」に基づき、対象となる患者さまの状態や検査結果などの厳格な基準を満たした場合に限り使用が許可されています。

・患者本人、家族、介護者より治療意思の確認ができている。

・加齢の範囲内での物忘れ(MCI)もしくは軽症のアルツハイマー型認知症の方(認知機能低下及び臨床症状の重症度範囲が以下の(a)及び(b)を満たすこと)
⇒(a)レカネマブMMSEスコア22~30点、ドナネマブMMSEスコア20~28点であること (b)CDR全般スコア0.5または1
・身体的に投与が可能な状態である方
⇒MRI検査で脳の異常(脳の出血・炎症・腫瘍など)がないこと、また点滴治療に耐えられる全身状態であること
・アミロイドβの蓄積が確認されている方
⇒PET検査または脳脊髄液検査で、アミロイドβの陽性所見があること
投与適応の判断について
レカネマブやドナネマブの投与可否については、問診・診察に加え、神経心理検査(認知機能の評価)、画像検査、血液検査などの結果を総合的に評価し、当科にて最終的に判断いたします。
なお、閉所恐怖症のある方、未破裂脳動脈瘤を有する方、過去に開頭手術を受けたことがある方でも、状態に応じて投与の対象となる場合があります。
一方で、検査結果によっては投与の対象とならない場合があります。あらかじめご了承ください。
適応外となる主なケース
  • ・認知機能の低下の原因が、アルツハイマー病ではないと判断された場合
  • ・認知症の進行が中等度以上である場合
  • ・MRIにて副作用のリスクが高い所見が認められた場合
  • ・薬剤の禁忌に該当する既往歴がある場合 など

診療の流れ

初診~投与開始まで1ヵ月~2ヵ月程度
  1. 受診の予約

    事前にご予約ください

  2. 初診

    問診・診察、血液検査、心電図、レントゲン検査、MRI検査
    (今後予定されている検査の説明をさせていただきます)

    ※同意いただけた方にはAPOE遺伝子検査(採血による)も行います

  3. 精密検査

    入院:1〜2日程度、または外来通院

    神経心理検査(認知機能の検査)、脳脊髄液検査
    画像検査(CT・脳血流検査・脳波検査・超音波検査等)

    ※ 検査期間および内容は、症状や患者さまの状態により異なります。
    ※ PET検査は連携医療機関にて実施します。

  4. 再診

    検査結果と今後の治療について説明させていただきます。

    投与対象となった方

    対象とならなかった方には、今後の治療についてご提案させていただきます
  5. 1回目投与

    入院:1泊2日~ 2泊3日程度

    原則として、副反応の有無の確認や追加検査のため、短期間の入院をお願いしておりますが、初回から外来での導入も可能ですので、ご相談ください。

  6. 2回目投与

    通院

    ※投与開始後は脳の浮腫(むくみ)や微小出血(にじむ程度の出血)などの副反応が生じる可能性があるため、定期的な脳MRI検査を行います。
    ※外来では数ヵ月間、レカネマブ、ドナネマブ投与前に副反応を抑えるための内服薬を投与します

初診~投与開始まで1ヵ月~2ヵ月程度

副作用(ARIA)について

早期アルツハイマー病の患者さんに対して改善をもたらす可能性がある一方で、注意が必要な副作用も報告されています。

特にアミロイド関連画像異常「ARIA」(Amyloid-Related Imaging Abnormalities)と呼ばれる副作用を引き起こす可能性があります。ARIAは脳からアミロイドβが除去されるときに、一時的に血液や血漿(血液中の水分などの成分)が血管の外に漏れ出すことで起こるといわれています。それにより、脳のむくみや脳の中で出血が起こることがあります。大きくわけて以下の2つに分けられます。

  • ARIA-E:脳がむくんだり、水分がたまった状態
  • ARIA-H:脳の中で小さな出血や出血によって生じた鉄分がたまる状態

ARIAの症状

ARIAは通常無症候ですが、まれに痙攣、てんかん重積状態など、重篤または生命を脅かす事象が発生することがあります。症候性ARIAの場合に見られる症状として、頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩行障害などが報告されており、局所的な神経障害が起こることもありますが、これらの症状は、通常、時間の経過とともに消失します。

※ARIAの出現がないかどうか確認するために、抗アミロイドβ抗体療法中は定期的にMRIの撮影が必要となります。もしARIAが見つかった場合には、程度に応じて抗アミロイドβ抗体療法を中止することがあります。

費用について